犬のはなし2

お迎えする子を探すのは、思ったよりも大変でした。
せっかくなら居場所を探している、早く家族が欲しい子を…と考えました。

いろいろ動物愛護団体や里親募集をあたります。

ある団体は問い合わせをしても、お返事がちゃんともらえませんでした。
(動物は好きだけど人間が怖くてコミュニケーションがとれない感じの方が電話受付されて、連絡すると言ったきりナシのツブテに…)

遠すぎて条件が合わなかったり、猫がNGだったり、保護犬を譲り受けるのはなかなか難しいものです。

すでに居場所を失った経験がある子や、人間不信からやっと回復した子に、次こそ幸せになってほしいのですから当たり前ですね。

ペットショップなども見てみましたが、ピンと来ず早々に諦めてしまいました。
こういうのは縁です。

こちらの強い気持ちがあれば、不思議と縁を見落とさずに繋がることができるものです。
…と小さい頃から、生き物と不思議な縁が何度もあった私と夫は考えています。

そして約2週間が経った頃、たまたまTwitterで3歳のビーグル君が里親募集されているのを発見。

ビスとは違う薄茶色な毛色のビーグル君で、明るい表情とクリームパンのような前足に釘付けになりました。

暖(ダン)くんって言う子なんだ、とてもお似合いな名前!
ほんと、なんて可愛い子だろう!
そして不安になりました。
どうしてこんな子を手放すんだろう?

さっそく問い合わせたところ、ブリーダー兼スクールなどを経営されている施設でした。

もしかして、すごく高額で販売される?
自社でやっているペット保険に入れとか?
法外に高い餌の定期購入を強要される?
さては、スクール契約を迫られる?
…と不信感でいっぱいでしたが、全くそんなことはありませんでした。

スクールで働いていたけれど事業が縮小されるので、一般家庭の子に…と里親募集を決めたのだそうです。
健康状態もよく、定期接種も受けており、訓練された子なら何の問題もありません。
すぐさま夫に「この子に会いに行こう」と提案し、その週末に泉佐野市へ向かいました。

南阪奈道路を使って車で1時間半ほどの、関西国際空港がある町まで。
先に連絡を取り合っていたため、非常にスムーズにことはすすみました。

訓練士さんも良い方で、とても頼りになる方です。
「こんな良い子、他にいくらでも欲しい方がいたのでは?」
と、思っていたことを尋ねました。

「いましたよ!でも、声が大きすぎるとか、2週間後とかにしか来られないとか、条件が合わなくて…」とのことでした。

不必要な金銭請求もなく、書類等もきちんと揃えてお渡し下さりました。
鶏アレルギーがあるとのことで、これから食事だけは気をつけなければなりません。

暖くんはスタッフさんから本当にかわいがられていて、施設から出る時には、他の訓練士さん・獣医さん・動物看護師さんがみんな出てきてのお見送りです。
大切な子をお譲りいただいたんだな…と、なんだか泣きそうになりました。

帰りの車で暖くんはどうなるかな…と心配していましたが、初めて会う私たちにも明るい顔を向けてくれて、本当にありがたい縁に結ばれたと思いました。

暖くんが我が家に来て、早くも2ヶ月が経とうとしています。
生まれた時からいるかのように、すっかり我が家に馴染みました。
いちばんの仲良しは10歳の次女です。

義母に張り合いができて、笑顔が戻ったことに安堵しています。
元々が一般家庭を知らない育ちなので、困り事もぼちぼち出ていますが、家の中をとても明るくしてくれた暖くんに心から感謝しています。

ビスの亡くなったことが、まだ新しい棘として残ったままのスタートですが…
暖くんとの新しい思い出といっしょに、ビスの暖かい思い出が蘇るように思います。

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