会いたい人

『はやしさんは、ずっと産科に関わっていってね。あなたは、産科に必要な人よ。』

看護師としては鈍くて注意ばかりされていた私に、そう言ってくれた助産師さんがいます。
穏やかで人に寄り添える心を持っている、自然とそうできるのは立派な私の特性だと。
この時に私は、とても救われた気持ちになりました。

私は、今のところ現場を離れてしまった看護師です。
シビアな現場には耐えられますが、人間関係に耐えきれなかったのです。
本当にやりたい仕事なら、耐えられるかもしれませんが……
私にとって、それは一生をかけて辿りたい道ではありませんでした。

それでも、現場経験のある産婦人科と整形外科は大好きです。
とりわけ、新生児と触れ合える産科は、とくべつ好きな領域です。
沐浴をしたベビー達のにおい、頼りないけれどキラキラした泣き声、ちいさな手足。
教えられてもいないのに、ミルクを一生懸命に飲む姿……全てが好き。

現場を離れて思うことは、別の場所からもこの母子医療の分野に関わって生きたいということです。
イラストレーターとして、母子を支える現場の方の役に立てることで、生きる力をいただくことができます。

私には、大きなひとつの目標があります。
『PERINATAL CARE』と『NEONATAL CARE』でイラストの仕事をすることです。
この雑誌はメディカ出版さんの代表的な雑誌で、全国どの産婦人科・NICU・GICUにもある月刊誌です。
産科にいて目を通したことのない人間はいないでしょう。

現場をやめてしまってから、あの助産師さんにはお会いできていません。
会いたい気持ちはありますが、何もお返しできないのに会わせる顔がないのです。
いつか、『私の気持ちは、産科から離れなかったんですよ』と笑顔でお会いすることができたら。
その日を目指して、一日一日を頑張ります。

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